源氏物語 第23帖「初音」

六条院での初めての正月が描かれます。

【あらすじ】光源氏、36歳。紫の上と歌を詠み交わし、新年を祝います。紫の上の元で養育されている明石の姫君に、生母・明石の君から贈り物と和歌が届き、哀れに思った光源氏は姫君自身に返事を書かせました。続いて、花散里、玉鬘を訪ねます。最後に明石の君の元を訪れた光源氏は、その夜はそのまま明石の君の所に泊まりました。

翌日は大勢の来客があり、饗宴や管弦の遊びが催されましたが、新年の挨拶に来た若者たちは皆、玉鬘を思って気もそぞろなのでした。

数日後、光源氏は二条東院の末摘花や空蝉を訪問しました。

この年は男踏歌があり、六条院に回りに来る際に玉鬘は紫の上や明石の姫君と対面し、共に見物しました。

 

明石の君の元に泊まった翌日、言い訳をする光源氏に、紫の上は返事もしません。これは面倒だと光源氏は狸寝入り、さらに来客の多さに紛らわし紫の上と顔を合わせることを避けるといった描写があり、現代にも通じそうな生々しさで思わず笑ってしまいました。

二条東院の末摘花を訪ねた時の様子も面白かったです。末摘花はかなり個性的で、それゆえ光源氏からの評価はかなり低いですが、現代の読者の視点だと面白い人物だなと思います。

「男踏歌(おとことうか)」って耳で聴いていると字もわからないし、なに?? という感じだったのですが、wikiによると「宮中で天皇が踏歌を見る正月の年中行事」、「踏歌」は「多数の人が足で地面を踏みならし列を作り行進して歌い踊る、古代の群集舞踏」とありました。