源氏物語 第20帖「朝顔」

【あらすじ】

賀茂斎院を務めていた朝顔の姫君は、父・桃園式部卿宮(光源氏の叔父)が亡くなったので斎院を退き、亡き父の邸に移り住みました。

若い頃から朝顔の姫君に好意を寄せていた光源氏は、叔母・女五の宮のお見舞いを口実に頻繁に桃園邸を訪ねます。朝顔の姫君は、光源氏と深い仲になることを恐れ拒みましたが、世間では2人の仲が噂になり、紫の上は不安になるのでした。

ある雪の夜、光源氏は今まで関わり合いのあった女性たちのことを語りつつ、紫の上を慰めました。その晩の夢に藤壺が現れ、罪が知れて苦しんでいるといって光源氏を恨みます。翌日、光源氏藤壺のために密かに供養を行いました。

 

朝顔の姫君。ご本人がようやく登場しました!

実はいきなり2帖「箒木」に名前だけですが登場しているんですよね。光源氏は、雨夜の品定めの翌日、方違えで紀伊守邸を訪れ、ここで空蝉と出会うわけですが、この時、紀伊守邸の女房たちが、光源氏について噂話をする、その中で「朝顔の姫君に歌を贈られたらしい」と語られています。

次に出てくるのが、9帖「葵」。六条御息所と葵の上の車争いを目撃した朝顔の姫君は、「六条御息所のようになりたくない」と考えるようになります。が、そんなこととは知らない光源氏は、第10帖「賢木」で、すでに賀茂斎院となっていた朝顔の姫君に文を贈ったりしています。

光源氏朝顔の姫君のことが、ずーっと好きなんですよね。

障害の多い恋に執着する、恋心を抱くとあきらめない−−光源氏にはそんな「恋愛癖」があった。その癖は32歳になっても健在で、今度のお相手は、光源氏が17歳のときから言い寄るもつれないいとこ、朝顔の姫君である。

佐藤晃子著『源氏物語解剖図鑑』より

やれやれ、と思わず呟いてしまいます。。。

 

でも、今回はしょうもない、いつもの浮気癖ね、では済まされないのです。

なぜなら、朝顔の姫君は位が高い!仮に朝顔の姫君が光源氏の妻になったとしたら、紫の上は格下なので、第一の妻の座にはいられなくなってしまいます。それを考えると、光源氏がそうとうひどい奴に思えてきました。紫の上だって生まれは良いのに、父親に知らせず勝手にさらってきたのは光源氏その人ですからね、最後までちゃんと責任持ってほしい、ほんとに。

この後も光源氏のこの「恋愛癖」は変わらず、女性に言い寄る場面が出てくるのですが、もはや気持ち悪いと思ってしまう。でも、見目麗しく教養も地位もあって拒む方が難しいらしい。となってくると、拒み通した朝顔の姫君はすごい! 好きなキャラクターの1人になりました笑。作中では、周囲の人から「拒むなんて変人」と思われているんですけどね。