源氏物語 第21帖「少女(おとめ)」
光源氏と故・葵の上の子供、夕霧が登場。世代交代が語られます。
【あらすじ】
新しい年が明け、藤壺の一周忌も過ぎました。
光源氏の長男・夕霧が元服を迎えました。光源氏は、夕霧の位を六位にとどめ、大学に入れ勉学に専念させることにします。
同じ年、梅壺女御(光源氏の養女)が冷泉帝の中宮に立后し、光源氏は太政大臣になりました。内大臣に昇進したものの、立后争いでは光源氏に負けた形になってしまった右大将(頭中将)は、それでは次女の雲居の雁を東宮妃にしようと考えます。しかし、祖母・大宮に預けられている雲居の雁は、同じく大宮に可愛がられて育った夕霧と、恋仲になっていたのでした。それを知った内大臣は激怒、2人の仲を引き離します。
その後、夕霧は試験に合格し、五位の侍従となりました。
翌年8月、光源氏が造営していた邸宅・六条院が完成します。
位は思ったより低く、恋人とも引き離された夕霧くん。切なかったです。恋人と別れを惜しんでいたら、恋人・雲居の雁の女房から「内大臣様の姫君のお相手が六位なんて……」などと言われてしまう。ほんと可哀想。。。絶対見返してやる!とばかり、この言葉を後々まで忘れないんですよね。そりゃ、そうだ。
当時、権門の子弟が元服すると一定の叙位を受けることが普通だったが、夕霧は実質上、貴族社会の最下位である六位に。貴族と呼ばれるのは五位からなので、これは異例の待遇である。
佐藤晃子著『源氏物語解剖図鑑』より
しかし、解説を読むと、女房の言葉も仕方ないかもと思えてきます。夕霧のばあば・大宮がものすごく嘆いていたのも納得です。恋愛もできない寂しい夕霧くんは、お父さんの教育方針に従って、勉学に励みます。素直! 真面目な良い子なんですよね。よけいに応援したくなる笑。でも、父・光源氏の教育方針、実は、、、
物語が書かれた一条朝には、大学領に入る上流貴族はほとんどおらず、現実は非学歴社会だった。夕霧が勉学に励み出世していく様は、紫式部が思う学問の理想を描いた場面だといえる。
佐藤晃子著『源氏物語解剖図鑑』より
そうなんですね。これは勉強になりました。
さて、この章の最後には、光源氏の大邸宅・六条院が完成します。何度聴いても、どこに誰が住んでるのか頭に入ってこなかった。。。ここで整理しておけば大丈夫、ということで
南東・春の町・・・光源氏と紫の上
北東・夏の町・・・花散里
南西・秋の町・・・秋好中宮(梅壺女御=六条御息所の娘)の里邸
北西・冬の街・・・明石の君