源氏物語 第2帖「箒木」

二日目は、第2帖「箒木(ははきぎ)」。

光源氏は17才。

有名な雨夜の品定め(光源氏や頭中将ら男性陣による恋愛談義)があって、

その後、光源氏紀伊守(きのかみ)の父親の若い後妻である空蝉と関係を結びます。

 

雨夜の品定めって、こんなに序盤にあったのかと驚きました。また、光源氏は17才と若く経験が浅いためか、聞き役に徹しておりほとんど発言しないのも意外でした。

私自身が雨夜の品定めをいつどこで知ったのか、定かではありませんが、内容は全く覚えてなかったし、意外と、「嫉妬深い女はダメだ」とか「宮中での仕事から帰ったら話を聞いてもらいたい」とか、現代にも通じそうなことを話していて面白かったです。

一夫多妻だから、一人の男性に関係している女性が何人もいるのは普通で、それはそういうものとして受け入れられているのかと思っていましたが、女性が「自分以外の女性の元へ通わないで欲しい」と言ったとか、正妻が愛人に嫌がらせをしたとか、そういうエピソードが語られるのも意外性があって興味深かったです。

現代と全然違うのは、身分に関わること。この恋愛談義の中で、「中の品(なかのしな)」と呼ばれる中流層の女(地方官の階級などに属する女性たちで、上流階級ではないがまずまずの位の女房として宮仕えに出ることがあり、作者・紫式部もこの層に含まれるそうです)が、個性的で面白いと話題になり、

皇族の出で、「上の品」の女しか知らなかった光源氏が空蝉に興味を示したのも、彼女が「中の品」の女だったから。以降、光源氏は多くの中流層の女性と出会い、「雨夜の品定め」で聞いた話を実践するような恋愛を重ねていく。

佐藤晃子著『源氏物語解剖図鑑』より

雨夜の品定めが序盤にあるのもそういうことだったのか!と納得しました。

 

さて、この章の重要人物は、やはり 空蝉(うつせみ) ですね。

親を亡くしたことで没落し、伊予介という老受領と望まぬ結婚をした

同上書籍より

女性です。彼女との恋愛は、第3帖「空蝉」にも続いていきます。

後ろ盾のない女性の人生がいかに不安定か、そんな人生をどう生きていくのかについては、後に登場する多くの女性にも共通する問題として、『源氏物語』のテーマの一つとなる。

同上書籍より

源氏物語解剖図鑑』を読んでいて、この部分にはハッとさせられるものがあったといいますか、考えさせられるものがありました。

源氏物語』は、おそらく学校教育の中で基礎知識を得、その文章にも何度か触れたことがあり、また、高校時代に現国の先生が大和和紀さんの漫画『あさきゆめみし』を希望者に貸し出していたので、借りて読みまして、それで多少は内容を知っていたのですが、私のイメージはラブストーリーであるというところに留まっていました。しかし今は、紫式部がなぜこれを書いたのかというようなことに興味が湧くようになりました。

知識を得たいというよりは一編の文学作品としてしっかりと味わいたいなと思います。

 

そうだ、この章で登場する重要人物といえば、頭中将(とうのちゅうじょう)もいました。

彼は、左大臣家の嫡男で、光源氏の正妻・葵の上の兄(母親も同じ)、光源氏の親友といっていい存在だと思います。光源氏より年上なので雨夜の品定めでも意見を述べていました。

頭中将って学生時代に身につけた知識の中では完全に抜け落ちていた存在だったのですが、2020年と2021年にNHKで放送されたドラマ『いいね!光源氏くん』のおかげで、重要人物の一人として記憶することができました!笑 ドラマでは桐山漣さんが演じていらっしゃり、「なかちゃん」って呼ばれていたので、オーディオドラマの中に頭中将が出てくる度に「なかちゃんだ!」って思って聴いています笑。