源氏物語 第5帖「若紫」

 病気療養のために北山を訪れた光源氏は、恋焦がれる藤壺(でも継母)によく似た少女(後の紫の上)を知る。少女=若紫は、藤壺の姪に当たる人であった。光源氏は、実母が亡くなり祖母に育てられている若紫を、引き取りたいと思う。

 その後、藤壺が宮中から自邸に下がっていると知った光源氏は、侍女に頼み込んで、藤壺と密通する。そして、藤壺は懐妊。

 一方、若紫は北山から都に戻ってきていたが、祖母が亡くなってしまう。若紫の父・兵部卿宮(ひょうぶきょうのみや・この人が藤壺の兄)はすぐに娘を引き取ろうとするが、それを知った光源氏は父親に先んじて強引に若紫を自邸に連れて行く。

 

光源氏が若紫を自邸に連れて行く様は、もうほとんど誘拐じゃんと思って聴きました。

藤壺に対しても一方的で、それで妊娠しちゃって苦悩するんだから、藤壺が気の毒。。。でも、強引な光源氏や拒みきれない藤壺が悪いのではなく、結局は前世からの因縁(宿世・すくせ)なのだから仕方がないというのが、当時の人々の考え方のようです。

 

参考書、佐藤晃子著『源氏物語解剖図鑑』には、こんなことが書かれていました。

18歳の光源氏に対し、若紫(筆者注、10歳くらい)が幼過ぎるため違和感を覚える場面だが、光源氏自身も12歳で葵の上と結婚したように、当時と今とでは年齢の感覚が異なる。また、2人が夫婦になるのはそれから4年ほど後のことであり、14〜15歳ともなると、当時の感覚では大人とみなされていた。

しかししかし、オーディオドラマでは、それは可愛らしい声でお話している幼子に、成人男性が執着しているようにしか聞こえず、やっぱりどうしても気持ち悪いと思ってしまいました。。。

何より光源氏が若紫に心引かれたのは、叶わぬ恋の相手である藤壺に容貌が似ていたから。光源氏が幼い若紫を引き取りたいと執心したのは、あくまで藤壺の身代わりとしてであった。

佐藤晃子著『源氏物語解剖図鑑』より

だから、決して光源氏ロリコンではないのだと言ってもですよ、だからって、じゃあ、若紫の立場はどうなるのよ、と、どっちにしても複雑な気分、になりました。。。