源氏物語 第8帖「花宴」
前章の次の年、光源氏20才の2月、宮中で桜の宴が催されました。
その夜、後宮で「朧月夜に似るものぞなき」と歌を口ずさむ女性(=朧月夜)と出会った光源氏は、彼女と一夜を過ごします。女性は名乗らず、2人は扇を交換して別れました。
1ヶ月後の3月、右大臣の藤の宴に招かれた光源氏は、朧月夜と再会します。彼女は、右大臣の6番目の娘でした。
この章は「朧月夜と出会う」だけの内容で、かなりあっさりとした印象でした。
でも、よくよく考えると、
朧月夜は、政敵・右大臣の娘、光源氏を嫌う弘徽殿女御の妹というだけでなく、4月に東宮に入内することが決まっていた姫君。
前章で、不義の子が生まれ、バレたらどうなることやらそれだけでもヤバいのに、この先、次章「葵」で桐壺帝が譲位、次々章「賢木」で桐壺院が亡くなります。そのような状況下で、政敵の娘と関係を結ぶ! それも東宮に入内するはずだった人に先に手をつけたわけですから、、、
物語的にかなり面白い!
右大臣の娘は6人。東宮入内を予定していたのが六女の朧月夜だ。皇子を産み、中宮になると期待されたが、光源氏との恋愛沙汰で、尚侍(ないしのかみ)として参内する。右大臣家には大打撃だ。
佐藤晃子著『源氏物語解剖図鑑』より
天皇の妃の中でも最も身分が高いのが「中宮」。それに対して、「尚侍(ないしのかみ」)は、天皇のそばに仕える女官のトップ、天皇の寵愛を受け実質上の妻となることもあるが、この時代、身分は女官のままであったそうです。
右大臣、大激怒ですね。。。